警告その3! 子どものうしろ姿にご用心!……不登校じゃなければいいってもんじゃないんです、おとうさん!
警告シリーズ part 3 です。
前号はこちら ↓
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もう一人、登場していただきましょう。
こちらはせいじ君くん、中学3年生。
せいじ君は、学校でいじめられていることを誰にも打ち明けることができず、日々、耐えながら学校に行っていました。
しかし、ある日を境に、脂汗が出るほどの緊張状態となり、全身がカチカチに硬直してロボットみたいに歩くようになってしまいました。
言葉も吃音が激しくなって、うまく話せません。
さすがのいじめっ子も、せいじ君の状態に異変を感じたのかいじめを続けることはなくなりました。
しかし残念なことに、いじめっ子がせいじ君をいじめなくなっても、せいじ君の症状がおさまることはありませんでした。それどころか、どんどんひどくなっていきます。
とうとうせいじ君は、学校に行かなくなりました。
悲しくも驚くべきは、学校に行かないことを決めたのはせいじ君ではなく、なんと担任の先生でした!
担任の先生がせいじ君の状態を見るに堪えかね、
「お母さん……、
どうか、せいじ君を休ませてあげてください。とてもつらそうで見ていられません」
と、母親に連絡を入れたことで、せいじ君の「耐え忍ぶ登校」がストップとなったのです。
そうなんです。
アンビリーバボーなことに、担任から電話をうけるまで、せいじ君の家族の誰ひとりせいじ君の体調の変化に気がついていませんでした。
なぜなら、せいじ君のチック症状は、家の外でだけ起きてしまう
「場面チック」
=「いってきます!」と家を出た瞬間から始まってしまうやっかいな症状だったのです。
初回の個別セッションには、めずらしく「せいじ君本人とご両親」がいらっしゃいました。(たいていお母さんのみが多いので)
おとうさんが、開口一番こう言いました。
「ずっと一日も休んだことのない息子が、まさか、学校から休ませてほしいといわれるなんて思ってもみませんでした。学校へ行きたくないなんて一度も聞いたことありません。家の中ではいばり散らして歩いているほど元気でおりますし……」
続いて、おかあさんが言いました。
「いつから、どうしてこうなったのか、私にはさっぱりわかりません!」
と。
子どもが不登校になると、多くの親御さんはこういいます。
「まっぱり心当たりがないんです」
「何も言ってくれないんです」
「突然のことでびっくりしています」
「何がいけなかったんでしょう? どうすればよかったのでしょう?」
「この先、どうしたらいいんしょうか……?」
と……。
お母さんの隣でコチコチになって座っているせいじ君。
ひざの上で握りしめたこぶしが一層ぎゅっと固くなった一瞬を、わたしは今でもくっきり思い出すことができます。
(最終回に続く)