第1楽章-6 ニュージーランドの家で大発見!~住んでみてわかった「ショッキングリスト」(;^_^A
(これまでのあらすじ)
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キッチン、トイレ、シャワー、玄関の不都合
1・「どうしてこんなにシンクが小さいのさぁ」
2・「水と熱湯が別々のタップじゃ、コップをぬるま湯で洗えないじゃん」
3・「まな板立ても包丁差しもな~い!」
4・「トイレに手を洗うところがないぞぉ」
5・「便座が冷た~い」
6・「くっさ~。でも換気扇がない!」
7・「お~い、シャワーが水になってきたぞ~!」
8・「バスタブのお湯、冷めて来ちゃったよ、さぶ~っ」
9・「ドライヤー用のコンセントがないぃ」
10・「玄関のどこで靴を脱げばいいの?」
11・「あっ、靴が片方なくなってる!」
これらはすべて、引っ越しの翌日にあげられた悲鳴である。
なんせ築30年の家ですからね。古いってのは覚悟しておりました。
が、古いってことは、昔の風習に忠実なカタチで存在しているわけで、つまりは、われら何でも至れり尽くせりの日の丸先進国からきた移民族には解せない文化がそこここに隠されておるわけで。
わたしたちは、即刻その謎を解明し、可能な限り快適な暮らしを保障するべく対策を練らねばならない。
っったく、こういう不都合は住んでみなければわからないものである。
一番、不便を実感したのは「水事情」。
ニュージーランドでは、家電のほとんどが電気でまかなわれているとは聞いていた。
なぜなら「ニュージーランド人は、ガスはおそろしいもの、と思っているから」と言う説があるが、本当のところは「発電」にある。
ニュージーランドは、非核政策を掲げアンチ原子力を徹底している国なので、発電の真髄はもっぱら「水」。水力発電なのだ。
火力と地熱もがんばっているが、割合で言えば25パーセントに過ぎない。
おまけに、われらが住む北島にはダムがない。つまりは、電気を南島からわけてもらっているわけで、となると、南島で水不足が発生すると、とたんに電気の危機に直面する。
なんて心細いことよ……と今でも思う。
台所のコンロは電気コンロがほとんどだし、風呂も電力でシリンダーに溜めた水をあたためて供給している。「水不足イコール電気がストップ」の公式にならって暮らしているニュージーランド人には、「水」はとってもとっても大切な資源なのだ。
さて、こうした水事情をまず念頭において、前記の悲鳴を解析しよう。
1・「どうしてこんなにシンクが小さいのさぁ」
この叫びは、悲しいかな築30年の家ゆえの不都合である。
築10年の家あたりからは、日本と同等の大きなシンク、もしくは二連になったシンクが、でで~んとシステムキッチンにはめ込まれている。お湯も、レバー式で楽々温度調節ができる。
では、なぜに、旧式台所は、かようにシンクが小さいか。
答えは、「シンクにお湯を張って洗剤液をつくり、そこで食器をじゃぶじゃぶ洗う」
からである。
シンクがあまりに大きいと、張らねばならんお湯がたくさん必要になる
しかるに、シンクは小さい方がよろしい、という節水の一対策なのだ。
そして、さらに驚異なのが、このシンクでじゃぶじゃぶ洗った後、彼らは「すすぎ」をしない。ティータオルで泡まるけの食器をそのままキュッキュッとふき取っておしまい。そしてそのタオルは、ずぶずぶに濡れて、もはや吸水力は望めない、という状態になっても替えられることはない。
2・「水と熱湯が別々のタップじゃ、コップをぬるま湯で洗えないじゃん」
イギリス博士のリンボウ先生のご本で、この食器洗い法がイギリス文化から流れているのは知っていた。しかし、この「法」が、学校や障害者施設での調理自習の際にも、まかり通っているのを目の当たりにしたとき、私の心中は驚きから非難に変わった。
教師たちよ。
あなた方は、自宅でもこの「じゃぶじゃぶキュッキュ」で済ませているのですか?
これ、絶対に体に悪いよ。
想像してみてくださいよ。
シンクに、ちょっと熱めのお湯が張ってあります。
食事を終えたメンバーがそれぞれ使った食器を、どぼんとお湯の中へいれます。この時、当然、他に水道がないので予洗はできません残飯は捨てるにしても、とにかく、どぼん、です。
じゃぶじゃぶ洗ってティータオルで拭き取って食器棚に納める。
一人が洗い、そしてまた一人……。
さぁ、3人目あたりから、ちょっと熱めに張ってあったシンクのお湯はどうなっているでしょう?
(みんなで想像するの図)
た、耐えられない。私には耐えられない!
は、はやく、お湯をかえてくれ~。
以来、よそへお呼ばれに行くときには、その家の台所をさりげなくチェックする癖がついてしまった。
そして、食器洗い機が据え置かれているキッチンだと心からホッとする。
そんなわけで、1,2は、シンクにお湯を張るためにシンクは小さく、そして、お湯と水を混ぜ混ぜしながらお湯を張るので、タップは別々でいいんです、というわけである。
しかし、これに納得したとて、不都合はやはり不都合のまま。
私とカンタは、シンクをでっかい物に替えるべく生活雑貨店へ足を運んだ。
そしてここでさらに、大きなため息をつくことになる。
店員さんがカタログを見せてくれるも、満足のいく大きさのシンクがな~い!
システムキッチンごどごっそりと付け替え、というのならあるけれど、シングルシンク単品で、となると途端に選択肢が少なくなる。
「これでも小さいよ。だって、こんなじゃ、大きな鍋洗えないじゃない。中華鍋なんてどうやって洗うのさ。中華鍋使わないにしても、スパゲッティをゆでたりする鍋は使うでしょう、あれ、大きいでしょ? みなさん、いったいどうやって洗ってるのよ!」
店員さんとカンタが困り果てるほど、私の困り果てぶりは剣幕に近かった。
で、つまるところ、われらはどうしたか?
洗濯場の汚物洗い用のシンク、最小サイズがベストであることを発見して一件落着。
水道のタップは、お湯とお水がミックスできるレバー式に替えてもらった。
材料&取り付け工事費、750bドルなり。
旧式シンクから特注シンクでキッチンがグ~ンとゴージャスになった。
3・「まな板立ても包丁差しもな~い!」
こちらの人は、あまりまな板を利用しないのだろうか。
器用に手のひらで乱切りにして、直接鍋にポイポイ放り込んでいく。
ネギのみじん切りにおいては、はさみでチョキチョキ。
こちらの包丁セットは、包丁立てとセットになっているも種類や本数ばかり多くってちっとも切れない。彼らの切り方がああなんで包丁がこうなのか、包丁がこうなんで、切り方がああなのかは、いまだ謎。
とにかく、結婚祝いに父親からもらったマイ包丁「関の孫六」を16年間重宝している私としては、トントントンっとまな板の上ですっぱりキュウリを切って、しまう時にゃ、シンク下の扉裏に包丁をさくっと納めたいわけよ。
「だからダーリン、お願いね」
「はぃ、奥様、かしこまりました」
カンタは、いそいそとドリルを持ち出して工事に取りかかってくだすった。
1時間後、包丁差し、完成。
ご苦労じゃった。
4・「トイレに手を洗うところがないぞぉ」
古いおうちのトイレは、往々にしてトイレの中に手洗い場が、ない。
後付けするにもそのためのスペースが、ない。
日本ではおなじみの、水洗すると同時にタンクの上部ノズルから手洗い用のお水が出る便器も売って、ない。従って、これについては打開策ナシ。
「となりのドアを開けて、風呂場兼洗面所で手を洗ってね」の手作り看板をドアに掛けて妥協する。
5・「便座が冷た~い」
まだこの国のウォシュレットの普及率、チョー低い、です。
暖かい便座、ない。じゃぁ、せめて便座カバー……これもない。
そこで、トイレには人一倍こだわるカンタ、TOTOさんにメールを送る。
「ニュージーランド対応のウォシュレットありますか?」
数日後、TOTOさんからお返事が来た。
「………電圧が違いますよね。海外用は一種類だけです……電源? もちろんいりますよ!」
……しかたがない。
ピンクとブルーの便座カバーを実家の母に送ってもらおう。
6・「くっさ~。でも換気扇がない!」
昔の家ですから……。トイレにも、キッチンにも、換気扇が、ない……。
で、対応策。
「うんちをする人は、窓を全開にしてから座りましょう」
と言うルールを作る。
以上
7・「お~い、シャワーが水になってきたぞ~!」
前述した「水事情」の続編。
ためておける温水のMAXがシリンダーいっぱい分。
調子にのって、じゃんじゃんお湯を使ってしまうと、3人目あたりからお湯が尽きてしまうこと必至。シャワーの制限時間は、最長15分と決める。
これ、どこの家でも暗黙のルールです。これからニュージーランドへホームステイする予定の人、要注意。
8・「バスタブのお湯、冷めて来ちゃったよ、さぶ~っ」
こちらのバスタブは、追い炊きができない……泣。
しょうがないじゃん。がまんをし!
以上
9・「ドライヤー用のコンセントがないぃ」
ニュージーランドの電圧は240ボルト。
とっても高いので、昔の家の洗面所には危険防止策として水回りにコンセントがない。そもそも配線がない故、これもがまん。(注:現在建てられてる家にはあります)
10・「玄関のどこで靴を脱げばいいの?」
だって、靴脱ぐ習慣がない国だモンねぇ。
日本から下駄箱を持ってきたけど玄関周りにおく場所があるわけもなく、勝手口側の廊下におくことに。
玄関のドアあけたらいきなり絨毯敷きの廊下なんで、
学校帰りの子どもたちの靴は、自然な動きの流れでいうと「外」に脱いでおくことになる。で、夜の戸締りタイムにせっせと勝手口の下駄箱まで運ぶ。
日中、突然雨が降ってくると……悲惨である……。
11・「あっ、靴が片方なくなってる!」
これは、お隣の犬がくわえていっちゃうせい。(怒)
来客の時は特に要注意。
しかたがないので、玄関入ってすぐの絨毯の上に箱を置いてそこで脱いでいただく。
以上、ニュージーランド暮らし第一日目のショッキングリストでございました。
あぁ、蛇口をひねったらボッとガスが点火して、
即、お湯が出て、ざっぶ~んと湯船につかれる風呂に、入りてぇ~!