リストラわいふ@ニュージーランド

恥をかきすて、見栄をすて、人生を楽しむことだけにフォーカスしている 【リストラwifeのリストラlife】をNew Zealandから熱くふんわりお届けします

「ニュージーランド狂騒曲」~ あられ美幸のNZ移住物語 <プロローグ> 

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<プロローグ>

 

わたしが移民となったあの日

アメリカ駐在からの帰国命令を無視し、そのままニュージーランドへトンズラ!
念願の日本脱出を実現させたあの日。

家ナシ、仕事ナシ、ツテナシの三なしセットを背負って、オークランド国際空港に降り立った7月27日は雨でした。

軍資金は、日本の家を売って残りのローンを差し引いた1400万円。

「家を買ったら幾ら残るんだろう」
「貯金を食いつぶしながらの一家4人の暮らし、いつまでもちこたえるか……」

わからんづくしで始まったニュージーランドの移民暮らし。
しかし不思議と不安は皆無でした。

「まずは2年……何があっても2年は踏ん張ってここで暮らしてみよう!」
「夫のため、娘たちのため、そして自分のために人生の再構築をしよう!」

妻として母として、いかなる苦難にもひるまず、とことん異文化の土地を闊歩してやる
と決意をしたあの日、私は37歳でした。

 

そして20年が経ちました。
おかげさまで、私たちは今、ニュージーランドの南島でちんまり暮らしています。
なんとか食いっぱぐれることなく、大病もせず、両手いっぱいに広がる青空と牧場、そしてそこで無心に草を食む羊たちを毎日眺めながら、鼻からゆっくりと呼吸をして生きています。

 三河弁バリバリの小学生だった2人の娘たちは、すっかりキウイイングリッシュを話す社会人になり、過労自殺ギリギリで持ちこたえたダーリンは、あの日本企業戦士の鎧はどこへやら、夕方5時には帰ってくる夫に大変身を遂げました。

生きててくれてありがとう……心からそう思います。

 

 ニュージーランドの魅力

日本人があこがれる「外国」と言えば、アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、ドイツ、フランス、となるのでしょうが、

いやはや、ニュージーランドだっておもしろいです。
めちゃくちゃおもしろいです。

まだまだ未開拓の場がある分だけ、5倍も10倍もおもしろいです。

 

いまひとつ華やかさには欠けるんだけども、その分、シンプルさで勝負アリ!
まったく格好を気にせず、競争心で心をとがらせることなく、自分らしく生きることに専念している人々の生きざまは潔し! あっぱれニュージーランド! と脱帽します。

 

ニュージーランドは夢の国?

豊かな大自然に加えて、フレンドリーな人たち、治安がいい、物価が安い、福祉先進国、そして、人柄がどこか日本人に似てる ってんで、今や、ニュージーランドは、日本人にとってはユートビアのごとく「夢の国」となっているらしいですね。

 

らしい……と書くのは、これは、日本からやってきた語学留学生やワーホリ(ワーキングホリデー)でやってきた若者たちから聞いた声だから。

 

日本からのビジターや留学生さんたちに出会うたび、

「どうしてニュージーランドを選んだの?」

と尋ねてみたらば、かれらの声の共通項が先の「夢の国論」でした。

 

そういえば、日本からいらっしゃる「教職員の研修ツアー」なんてのも年々増えています。

なるほど、教育、福祉においては、この国、もう抜群に「国民サイド優先!」ですから、身も心もちっちゃな枠の中にぎゅうぎゅう詰めにされている日本人からすれば、確かにユートピアかもしれませんね。

 

かくゆう、この私の移住目的も、大半は娘たちへの教育でした。
(あ、違うな……(;^_^A 30%ぐらいだな……)

 

老後はニュージーランドかオーストラリアで暮らしてみたい、と言う方も多くいらっしゃいます。

 

そうそう。

おまけに、ちょっと困った現象……ありますよ。

「永住権欲しさの男狩りをねらう女たちの増殖」……起きてます。

これ、ちいさく、大きくこっそりブームのようです。

 

「自分探し」「自分への投資の旅」という言葉を隠れ蓑に、その実、

「出会いを重ね、願わくば誰かと結婚までこぎつけて移住したい!」

「移住が叶ったらとっとと分かれてでもいいから、とにかくNZで暮らす切符をゲットしたい!」

……と、ひそかに狙っている Boys & Girls、いらっしゃいます。

 

この現象は、今に始まったことではなく、しかも、日本人のみならず世界中からやってくる若者が胸に秘めておる「奇跡」でして、現に、その奇跡を自らの力で巻き起こしめでたく切符を手にして幸せに暮らしている方々もいらっしゃいます。

(注:ただし、ここ数年、“NO more immigrants(もう移民はたくさんだ)!” といったNZ国民の声が大きくなり、移民を受け入れる審査は各段に年々厳しくなっています)

 

かように、若者から年寄りまでをも魅了している国、それがニュージーランドなのであります。

  

貧しいけど、とことんやさしく豊かな国、ニュージーランド

 留学生、ワーホリ(ワーキングホリデービザで一年間滞在のチャンスを得ている31歳までの若者のみなさん、ニュージーランド滞在の初期はたいがいこうおっしゃいます。

 

「ニュージーランドは(遊ぶものが)何もない」

「退屈~!」

 

おっしゃる通り。

この国には、カラオケや、パチンコ、ディズニーランド、などのアミューズメントがありません。

 

正真正銘の「地味で、謙虚で、貧乏だけれど豊かな国」。

何が豊かか……? 

これを身をもってわかるには、ちょっと時間がかかります。

(つまり、時間をかければみなさんわかります 笑)

 

なぜに、商売っ気がないのか、どんくさいのか、貧しいくせに国民に甘いのか、不便なことを便利にしようとしないのか、仕事が遅いのか……?

 

移民としてこの地を踏んだ私の最初の1年も、この「なぜなに、どうして?」ばかりをさけんでいた日々でした。

そして、私の「なぜ&なに?」の答えは、誰に聞いても、どこで聞いても、いつ聞いても

 

「That's New Zealand!」 
(だって、それがニュージーランドなんだモン)の一言でぴしゃり!

  誰も、うんちくをたれません。

 

お、おっしゃるとおり……いちいち突っ込んで失礼しました……と赤面しかり。

  

というわけで、このレポートは、そんな「夢の国 ニュージーランド」を誇張するものではありません

 

「ニュージーランド狂騒曲」は、ニュージーランドの庶民の素顔を移民の目で記したくらし見聞録

であります。

 

われら移民一家が日本脱出後、どのようにニュージーランドに根を張ったのかレポートすると同時に、

「ふるさと日本、ガンバレ日本、これでいいのか日本、しっかりしてくれよ日本!」

を、問う「明るく、まじめで、やさしい文化比較論」としてお届けできらたのしいなぁ、と思っております。

 

われらのニュージーランド・ミステリー列車は、今なお各駅停車。

その都度、隠されたお宝を探し出すかのように注意深く周囲を見渡し、「そこ掘れワンワン」と今日も宝探しの日々は続きます。

 

(第一楽章へつづく)